ソーシャル時代のアーティストサイトの在り方その2

前回のアーティストサイトの在り方についての続編を。

まずアーティストサイトはソーシャルターミナルを目指し、無料の音楽サービスと連携し、無料の音楽サービスを紹介し、入口を多く設け、音源、映像を設置する。同時に出口も多く設け無料で音楽を提供できる環境を作り出すこと。

しかし、これだけではまだ足りない。

ターミナルとした場合、どこにでも飛べながら、そのターミナル自体も楽しめる作りにしなければならない。

そのためには、もうひとつアーティストサイトに側面を持たせる必要がある。

それはファン専用のコンテンツだ。

会員登録をして、ファンだけが見れる特別なコンテンツ及びマイクロサイトを構築する。
事実上、いまアーティストを検索して上位に来るのはほぼ間違いなくアーティストサイトだ。

レコード会社のサイトやレーベルサイトなんてよっぽどのことがない限り訪れない。
アーティストサイトが起点であり、基点になる。
この会員向けのコンテンツ及びマイクロサイトは海外のアーティストは結構採用していたりする。

その際、サイトをソーシャル化するだけではただのハブでしかない。
ここでしか見れない、聴けない特別な『何か』を提供する必要がある、ある一定の限られた人に向けて。

会員向けというとても陳腐に聞こえるけど、実際どれくらいの人が価値を見出すだろう。

言えるのは『CDも買ったことがあるし、そのアーティストないし楽曲が好きだ』ということ。
次に『あらゆるところに設置した無料の音楽や偶然出会った場合からたどり着いたそのアーティストが気になる』ということ。

どちらにしてもなかなかハードルが高い。メールアドレスを入力するなんて面倒この上ない。こういう場合はfacebook等のソーシャルプラグインを導入すべきだろう。ソーシャルメディアと音楽サービス、その他好意的な出会いを通して訪れたユーザは きっと関心は持つだろう。

但し、メリットが必要だ。 普通にアーティストサイトに訪れたユーザには通常通り アーティストのブログやPV、メッセージ動画、バイオグラフィーなどの極めてベーシックな内容に加え各種ソーシャルメディアや音楽サービスを変わらず享受できる。一方、会員の場合、特典というと安っぽいが以下のようなことができたりするとどうだろう。

  • 楽曲の製作過程を見ることができる。
  • 楽曲のパートを切り分けた動画同時に見ることで違う方向から楽曲を楽しむ。
  • アーティストの裏側の定期的なドキュメンタリーを見れる
  • いち早くリリース前の楽曲を聴ける
  • 自身が撮ったアーティストに関連する動画や写真を投稿できる ・igoogleのように自分だけのそのアーティストの情報ないし サイトコンテンツのお気に入りをカスタマイズできる
  • 特別ディスカウントで販売
  • サイトのソーシャル化によるアーティストとユーザのコミュニケーションハブ機能
  • ライブ先行チケットの発売

この会員も無料なのか有料なのかという大きな問題はある。個人的にはアーティストサイトにおいては無料にするべきだ。
日本のアーティストサイトの場合、ほとんど有料ファンクラブ紹介ページへとなっている。

それはそれでいいのだけど、アーティストサイト内では無料のファン限定コンテンツを設けるべきだ。 一部実施している海外のアーティストもいるが、 要はどうせ会員登録を促すならそれ相応のものを提供すべきだということだ。

このへんのコンテンツの中身はまた考えてみます。 同時にyoutubeで結構見れちゃうぜってのもたくさんあるのでそのへんも整理、統合する必要はある。

そういった意味でよくできていると思うのがイギリスのヴァーチャルバンド『Gorillaz』だ。 もともとヴァーチャルの架空バンドという設定もあり、かなり豪華で盛りだくさんのサイトだ。

gorillaz

各種代表的なソーシャルメディアへの導線あり、 会員状態じゃなくてもゲーム、ビデオ、音楽等堪能できるが 会員だと特別なライブ映像やディスカウントが受けられたりする。 また去年のクリスマスには無料で新作がダウンロードプレゼントされた。 (のちにフィジカルリリース) 場合によっては、アプリなんかも大いに可能性があるかもしれない。 また、ソーシャルメディア活用している最大のアーティストといえば、

レディー・ガガだが彼女のサイトはもはやユーザが何かしらのソーシャルメディアに参加していることを前提とした設計になっている。ソーシャルボタンがどこにでもあり、facebookへの誘導あり、投票機能ありとふんだんに利用されている。そのあたりも大いに参考になるかもしれない。

ladygaga

合わせて海外のアーティストサイトにはたいがいフォーラムと呼ばれるものがある。
要はファンの掲示板のようなものだ。ファン同士の交流がメインとなる。
その代替は日本でいえば、mixiのコミュニティなのかもしれない。
そういった機能もソーシャルメディア上のアカウントを使用して日本のアーティストサイトは取り入れるといいかもしれない。

基本この音楽ビジネス×ソーシャルメディアの主語はアーティストなのだけど、ではレコード会社が一切関係ないかと言われればそれは違う。

現に今の音楽ビジネスの売上の大半はやはりCDだ。
日本はCD売上世界一の国だ。
そのあたりの詳しい内容は伊藤雅啓さんのブログが秀逸です。

着メロやデジタル配信なんてまだまだ規模的にはおっついていない。
基本、本当に一部のアーティストを除いて音楽で飯を食うというのはやはり難しい。
今後はレコード会社も含めて音楽ビジネスとソーシャルメディアについて考えていけたらいいなと思います。