音楽はもともと無料だったのだ

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音楽産業の落ち込みが叫ばれて、ずいぶんと時間が経った。

CDの売上は2000年に若干上昇しながらも98年から減少の一途をたどり、配信は08年以降頭打ちとなり、
もはやCD、音楽を買うという行為はどこかここではない場所に飛んでいってしまった印象だ。

僕のように隙あらば、タワレコへ行き、視聴し、CDを買うなんて人間は相当マイノリティなのだろう。

音楽産業が生き残る道はどこにあるのか。

そのような低迷する音楽産業の中でひとつだけ伸びているものがある。
コンサートツアー年間動員数だ。98年と09年を比較してみると約1.8倍も増えているそうだ。

詳しくはこちらのブログを
音楽業界の市場変化

しかし、国内外の単独ライブや国内アーティスト、国外アーティスト主体のフェス、コンサートによって動員数の増減はあるので、注意は必要だ。

上記のデータからも人々は音楽を購入することは少なくなったかもしれないが、
音楽を不必要になったわけではないのだと思う。

音楽を楽しむ方法は今やwebサービスだけでも無数にある。

ストリーミング系でいえば、ヨーロッパで急拡大中の音楽ストリーミングサービス『Spotify』や若干ビジネスモデルは違うが似たようなSONYが発表した音楽ストリーミングサービス『Music Unlimited powered by Qriocity』がある。

こちらの今後の展望、ビジネスモデルはまた違う機会に論じたいと思う。こういうサービスもあるというだけだ。

また、これとは違って、合法的「Mixtape」で、ユーザーは8曲からなるプレイリストを作って友人と共有することができるサービス『8tracks』、音楽版instagram(視聴もちょっとだけできる)『soundtraking』

その他、ギリギリラインの『Grooveshark』やもはや定番のsoundcloud,myspaceそれはもうたくさん。日本のサービスも合わせたら、キリがない。

そこで重要なのは、アーティスト自身が発表しているものとユーザが勝手に発表しているものとの違いだ。

でも、僕らユーザはそこに分け隔てなく、音楽を聴いている。
myspaceのアーティストのページで音楽を聴いたり、8tracksでDJがあげたものを聴いて、カッコいいなと思ったりする。

つまり、発表者に関係なく僕らは無数に音楽を自由に無料で得られている現実がある。そこにはソーシャルリコメンデーションも加わり、買わなくていいし、十分満足できる。さらに海賊版などが加わってもはやCDや音楽配信で売り上げを作るのは難しいだろう。特典をつけたって、さして大きな変化はないように思う。

しかし、振り返ってみれば音楽は昔から無料だったのだ。
街で、バーで、広場で、人は楽器を奏で、歌っていた。
それははるか昔から。音楽が儀式だったりしたくらい、僕らは無料の音楽と共に生きてきた。
それがいつからか産業として興り、今のような時代になった。

これから音楽産業は原点に戻ることがいちばん望ましいのではないか。
音楽を無料で聴かせ(もちろん今まで通り販売して構わない)、琴線に残る音を奏で、生の音が人の心を震わせ、人とその場所でつながり、共感し、その人の人生の一部になったとき、その音楽はお金を出してでも、そばに置きたいと思うようになる。
実際はそこまでいかずとも買うのだろうけど。

そういった中で、無料の音楽が有料の音楽に変わるとき、そこに生で感じる、聴く。そして、人とつながり、共鳴し合い、連鎖していくことが音楽産業の未来を占っていると思ったり。

ただ、生でやるということにおいてのアーティスト側の問題というのが出てくるのも事実。
逆に生で聴かせたことにより、失望させる可能性もはらんでいる。

いろいろ超えるべき課題は多いけど、音楽産業が今一度復活するためには何が必要か。
その答えがコンサート(フェス)とソーシャルメディアと各種音楽サービスの連携だと思っているのだけど、
それはまた次回。