クラウド音楽サービスから見える『共生』の時代

Appleの『iCloud』、Amazon「Cloud Drive」、Google「Music Beta」、facebookとSpotify連携などなど音楽クラウドサービスは大きな始まりを迎えようとしている。

さて、それらのクラウド音楽サービスは私たちの音楽生活を豊かにするだろうか。

それはもちろんイエスだろう。いつでもどこでも好きな曲が聴ける。デバイスに依存することなく、ネットに接続するだけで好きな音楽を楽しむことができる。私自身もクラウド音楽サービスは非常に楽しみにしている。待ち遠しいくらいだ。

但し、こんな興味深いデータがある。
『iTunes Libraryに入っている81%の楽曲は一度も再生されていない』

この調査によれば一人当たりのiTunesに入っている楽曲数は平均で5409曲、そのうちの4195曲は再生されていないのだとか。 つまり、ほとんど決まった曲しか聴いていないということだ。

この調査はクラウド音楽サービス不要論側によった記事なので信頼性というのはいささかどうなのかという疑問はあるが、心当たりがなくもない。

私のiTunes Libraryだってデータを入れたはいいものの聴いていない曲はごまんとある。そういう意味ではみんなクラウドに音楽を入れて持ち運べるっていうけど、そんなのいるの?ipodによく聴く曲だけいれておけばいいんじゃないの?ということを考えさせてくれるものだ。

では、クラウド音楽サービス不要か?というと私はそうは思わないし、世の中の流れ的にもそうはならないだろう。

クラウド音楽サービスはきっと私たち一般ユーザの音楽生活をより豊かにしてくれるだろう。
それは選択と収集の幅が圧倒的に広がるからだ。

そのなかで、音楽ビジネス側はいかにして、この『iTunes Libraryに入っている81%の楽曲は一度も再生されていない』の中で19%になる仕組みと仕掛けを考えていけるかだと思う。

一方でこんな意見も聞こえてきそうだ。

『ユーザのiTunesLibrayに入ってるんだからいいんじゃない?』

確かに一理ある。iTunesLibrayに入っているということは、何かのきっかけで買った、借りた、ダウンロードしたからそこに入っているわけだ。けれど、それだけでは『1回きりの共感、共鳴』に過ぎないのではないか。

これからはアーティスト含めた音楽ビジネスは『継続する共感、共鳴』を目指すべきだと思う。

継続すればするほど、そのキズナは強くなる。自分のiTunesLibray再生楽曲トップ10はきっと何かしらの強い記憶やエピソードがあるのではないだろうか。何回でも聴いてしまう理由。その理由こそが再生される19%になるのだと思う。

そのためにソーシャルメディアや音楽サービスと連携し、ひいてはリアルとも連動し、共有→共感→共鳴の仕組みづくりが重要だ。

そういう意味では前回のブログに書いたSuperflyの取り組みは素晴らしい。特別な体験を可視化し、ソーシャルメディア上で共有、共感させたファンをつなげ、強固な結びつきと広がりをリアルとソーシャルメディアで連結させる。

以前にも書いたとおり、共感と共鳴を一緒に語られることが多いがやはり共感と共鳴が一緒に語られるべきではなく、違うステップだ。
最終的にはその楽曲やアーティストがその人にとって生きて行く上で必要になるくらいの価値を生み出す『共生』が目指すべき場所なのかもしれない。

クラウド音楽サービスが普及することで、私たち一般ユーザの利便性は高まるし音楽に対する需要も上がるかもしれない。でも、音楽を提供してくれる人々がいかにして今の時代に合わせた音楽供給方法を生み出すかが大事なのかなあなんて思う。

もちろん、さきほどから19%と連呼しているが、あくまでの今回の記事はそれを基にして考えた場合なのでご容赦ください。

合わせて今回はiTunesLibrayを含めたiCloudがメインのはなしなので、Amazon「Cloud Drive」、Google「Music Beta」facebookとSpotify連携などはまた別の機会に考えてみたいと思う。

そんな僕はもう約1週間iPhoneが壊れたままです。