前回のブログではソーシャル時代のフェスサイトの在り方について考えてみた。
では、実際の日本のフェスサイトはどうなっているのだろうか。洋楽主体フェス、邦楽主体フェスそれぞれ見比べてみた。全体の印象としてはまだまだ旧来通りのフェスサイトといった印象だ。
まず情報発信ありき。そこにいくつかソーシャルメディアへの導線が設置されている。
共通項として挙げられるのはtwitter。これはアーティスト発表などの拡散が見込めるコンテンツに対して最も有効なリアルタイムメディアだ。その次にmyspace、facebook、mixiといった順番だ。合わせてメルマガも多く設置されている。メルマガは私もいくつか登録しているがあまり更新は少ない。但し、そのフェスメルマガをシェアする仕組みは、残念ながらない。
そのあたりはかなりバズってたSocial Media Experienceさんの『そのメルマガは共有したくなるか?』という素晴らしい記事があります。
また、facebookにしてみても、ただ開設をしているのみや全体的にはあまり積極的に展開してないようだ。
それでは、日本の代表されるフェスサイトの現状を見てみよう。
FUJI ROCK FESTIVAL
言わずと知れた日本最大級の野外ロックフェス。このフジロックのソーシャルメディアへの対応は以下だ。
- myspace
- youtube
上記はどれもフジロックのアカウントで行われており、連携というよりも導線だ。残念ながらあまり活発というわけではない。
サイト自体の設計は長年大きな変更をせず見やすく、使いやすい。
SummerSonic
フジロックと合わせて日本最大級のフェスであらゆるジャンルのアーティストが参加する都市型フェス。サマソニのソーシャルメディアへの対応は次のとおり。
- youtube
個人的には日本のフェスサイトの中で最もアクティブにソーシャルメディア上で情報発信、情報交流をしている印象だ。
facebookでは出演するアーティストのビデオとコメントを掲載しユーザとの交流も盛んだ。また、Bandpageというタブを使ってオススメのアーティストが聴けたりしているのもいい。ユーザに好きなアーティストにはもっと、知らないアーティストには見てみたいと思わせるような内容を投稿している。
METAMORPHOSE
秋に静岡で行われるオールナイトの野外フェス。フジロックやサマソニに比べてtwitter、myspaceのみと少し寂しげな印象だ。ただ、メルマガを設置している。
Greenroom
もう終わってしまったけれど、GREENROOM FESTIVALはサーフカルチャー、ビーチカルチャーをルーツに持つ、音楽とアートのカルチャーフェスティバル。このフェスはfacebook、twitter、myspace,mixiと他のフェスよりいろいろと導線を張っている。特にmixiは公認コミュニティで非常に活発に動いている。facebookページに関してはなぜかページではなくアカウントになっているのが謎である。
ROCK IN JAPAN FESTIVAL
日本のアーティストが勢揃いする野外フェスティバル。このサイトはブログ、BBS(フォーラム)、twitterが実施されている。しかし、twitterは雑誌ロッキンオンと併用なので完全に独立ではない。
RISING SUN ROCK FES
北海道で行われる野外フェス。このサイトではfacebook、twitter、youtubeへの導線がある。facebookページはあるものの特筆したものがなく、まず情報発信といった具合だ。
TAICOCLUB
長野県で行われたオールナイト野外フェス。このサイトはあまり見やすい情報設計ではないけれど、多くのソーシャルメディアへの導線を張っている。facebook、twitter、myspace、mixi、メルマガ。中でもfacebookはショップのタブやwelcome、写真、動画となかなかコンテンツが詰まっている。ただ、せっかくのウォールがユーザとのコミュニケーションに使われていないのは残念だ。
BIG BEACH FESTIVAL
これももう終了してしまったが、FATBOY SLIMが主催するこのフェスはなかなかあらゆるソーシャルメディアに出店し導線を作っている。
facebook、mixi、youtube、twitterがあり、なにより面白いのがニコニコ動画があることだ。これはどのフェスサイトにもない。サイト自体の設計も独特で面白い。
フェスサイトの中ではsummersonic以上にソーシャルメディアへの導線を作り出しているサイトだ。ウォールも積極的な書き込みが見られ、アクティブな印象だ。
と、上記のようにひと通り見てみると、全体的に各ソーシャルメディアへ導線は張っているものの、それぞれが深くなっていないのが共通していることかもしれない。
特に洋楽主体のフェスは邦楽主体のフェスに比べてソーシャルメディアに多く導線を張っている印象だ。ただ多くがまだ様子見のような印象をうける。
まず間違いなくこうした日本のフェスサイトは変革を余儀なくされる。それは単にソーシャルメディアへの導線を作っているとか各ソーシャルメディアへ参加していているというだけでなく、もっともっとサイト自体がソーシャル化されていかなくてはいけない。
広く浅くではなく、これからはサイト自体も深く、各ソーシャルメディアにおいても深くという構造にしていかないと、共有→共感→共鳴の仕組みは生まれない。ただまだまだ発展途上なので、きっと来年はもっと違う形になっているだろう。むしろなっていなくてはならない。
フェス前とフェス中とフェス後という観点から見てもいまの多くのサイトはフェス前に力を注ぎすぎていて、フェス中が最も重要だと思うのだけど、そこまで踏み出せてはいない。同時にフェス後も写真やレポートは上がるが、一方通行だ。
その他、フェスの乱立で多くのフェスサイトがあるけれどキリがないので代表的なサイトから抽出してみた。
そういった中で海外のフェスサイトはどうなのだろうか。私は先日行われたばかりのイギリスのグラストンベリーフェステイバル、アメリカで行われたコーチェラフェスティバルやイギリスで行われるiTunesフェスティバルにひとつの可能性を感じるのだが、それはまた次回。