ライブエクスペリエンスの進化と変化

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7月18日に話題のニコファーレがオープンした。
このニコファーレの登場によって、オフラインとオンラインがシームレスに融合し、新しい体験価値を産み出そうとしている。

ニコファーレやustreamなどによって、ユーザがライブ(イベント)というものにたいして、直接的関与と間接的関与の2種類の参加の仕方が生まれた。

直接的関与:ユーザがライブ(イベント)そのものの一部になる

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ニコニコ動画のドワンゴが手がける新しいライブハウス「ニコファーレ」はもう皆様御存知の通りのことばかりなので、簡単にご紹介する。

ニコファーレ」は最大で380人収容し、ライブ形式での生放送を中心に発表会や展示会などさまざまなイベントをネット中継するために作られ、360度全壁面と天井までLEDモニターを設置した会場は、コメントやデジタルフラワー、サイリウムコメントなど様々なオフラインとオンラインの垣根を無くし、次世代ライブハウスである。

今までライブは見るものだった。それがこれからライブは参加するものになっていくのかもしれない。もちろん、すべてがそうなる必要はないし、
なってもいけないと思うが、こういった次世代のライブ体験は今後大きな可能性を秘めている。

ライブをユーザと共に作り上げる。そこはアーティストとユーザを超えたひとつの共同演出になる。

最新のテクノロジーと人間の感情が有機的に結びついたもの、それがニコファーレだ。

同時にアーティストないしパフォーマーはいかにしてユーザを巻き込んだライブエクスペリエンスを演出できるかが、非常に重要な課題になる。

演奏力があるのは当たり前。それに加えて映像、パフォーマンス、デジタル、ソーシャルを駆使したエクスペリエンスを生み出せるかが今後のデファクトスタンダードになるだろう。

ニコファーレは観客とアーティストの垣根を壊し、プロとアマの垣根をも壊した。
このようなプラットフォームを最大限に活用しつつ、次世代のライブエクスペリエンスを行っていく必要があるだろう。

チャンスは今までになく、増えたと思う。同時に音源だけではない『伝え方、伝わり方、広がり方』を示していく必要があるように思う。

関節的関与:ユーザがライブ体験をソーシャルで共有する

DOMMUNEは宇川直宏が主催する金・土を除いた毎晩19時から24時までオンエアされているライブストリーミングスタジオのことで、非常に人気を誇っているustream番組である。
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毎回素晴らしいDJプレイを披露し、まるで自分がクラブにいるような感じを抱くくらいクオリティの高いショーを見せている。8月19日には「FREEDOMMUNE 0<ZERO>」というフェスが開かれる。

ライブエクスペリエンスはニコファーレのように、ユーザがライブ(イベント)そのものの一部になるものと、DOMMUNEのように、ユーザがライブ体験をソーシャルで共有するものがある。

楽しみ方はどちらも違う。共通しているのは、リアルな場所がそこにある。ということだ。

ユーザはアーティストや会場、ジャンルによって様々なライブエクスペリエンスを今後体験していくことになるだろう。

今まで通りアーティストをその場所で見るというエクスペリエンス。
オンラインを通して趣味趣向の仲間たちとつながりながら目撃するエクスペリエンス。
そして、ライブそのものの一部となり、ライブに参加するエクスペリエンス。

それぞれ一長一短あるわけだが、今後はアーティストないし楽曲をどのようにユーザに伝え、広め、聴いて、参加してもらうかの選択肢にライブエクスペリエンスは間違いなく考えなければいけない項目のひとつになるだろうと思うのです。

例えば、先日行われたB’zのロサンゼルスustream生中継はまさしくソーシャルを通して趣味趣向が近い仲間たちとつながりながら目撃するエクスペリエンスを目撃するパターンだった。

同時視聴者数5万人。トータル20万人が視聴したようです。関係者の皆様お疲れ様でした。
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ライブエクスペリエンスとはなんなのか。
今までは会場に足を運び、そのとき、その瞬間でしか見れない特別な時間を体験できることがライブの醍醐味だった。

これからはオフラインの価値を爆発させることは、ひいてはオンライン上でも爆発できることを意味し、それは打ち消しあうどころか相互にそれぞれの強みを融合する新しい価値体験の創出になっていくと思う。

また違う機会に書こうと思うが、プロジェクトマッピングなんかもオフラインとオンラインをつなぐ装置として面白いのではないかと思う。

オフラインベネフィットとオンラインベネフィットのバランスと打ち出し方、今まではあくまでリアルに軸をおいたデジタル、ソーシャルの形をこれからはそれぞれの役割とスタンスを考えた上でのライブになるのかもしれない。

もうオンラインでのライブ施策はオフラインのためのものだけではない。オンラインだけでも十分完結する仕組みが成り立ちつつある。しかし、それは同時にオフライン、リアルの価値を高めていくことにもつながる。

ニコファーレを筆頭とした新しいライブエクスペリエンスはオフライン、リアルな価値を高め、デジタル、ソーシャルが合わされることでより一層の音楽価値を向上させ、拡張させる次世代のオフラインとオンラインをつなぐ架け橋になればいいなあと思う。

オンラインで目撃、参加し、ネットチケットを払うような仕組みがこの先もっと出てきて、アーティストにもきちんと還元できるような仕組みが生まれてくれば、どんないいかと思う。

最後に私はそれでもリアルな場所こそが最終的な着地点になってほしいと思っている。テクノロジーやソーシャルの発展によって世界は開かれた。

様々な方法論が生まれてきているからこそ、人の琴線に触れる音楽を、人の心を揺さぶるライブを本来の音楽を創造する原点を大事にして、音楽を発信して頂きたいなあと。

市場をどこに設定するか。
そして、その市場に対しての戦略はどうするか。
その先に初めて戦術が生まれ、そのなかのひとつピースとして、ライブエクスペリエンスを考える。
そして、ソーシャルメディアで語られるコンテキストを設計すること。

「共有」から始まり、「共感」を経て「共鳴」へ。
目指すべき最終ゴールは「共感」ではなく、「共鳴:レゾナンス」だと思います。

音楽はきっといつの時代も必要なものだと思うから、言葉の通り、『音を楽しむ』戦術が広がった今だからこそまずその『音』を大事にしてほしいなあと思います。

手段の目的化ではなく。

さて、今週はいよいよフジロックですね。
フジロッカーズのみなさん、1年が始まりましたね!楽しんできてください。


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