100Tribe(ワンハンドレッドトライブ)を作り出す

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インディーズアーティストというのは日々、他の仕事をしながら音楽を作り、広く多くの人に届けたいと思っているはずだ。しかし、その割にはあまりにも古き良き時代のやり方一辺倒になっていないだろうか。

ビラをくばる。ノルマ制のライブハウスに出る。路上でやる。
どれもいいと思うけど、(良くないのもあるけど)もっと戦略的に自分たちの音楽を届ける方法を探りながらトライすればいいのになあといつも勿体ない気持ちでいる。そして、いまソーシャルメディアを使えばなんかすごいことができるらしいと言う。

果たして本当にそうだろうか?
今回はインディーズアーティスト中心に(メジャーアーティストにも当てはまる)タイトルにある『100Tribe(ワンハンドレッドトライブ)』について考えてみたい。

自分の求めるゴールはどこだ?

まず大前提として、音楽をやっていく上でのゴールはなにかということだ。
そこを徹底的に噛み砕いて、ブレイクダウンとして考える。
もし本気で音楽で飯を食おうと思うなら、今すぐ「なんとなく」は消し去るべきだ。

自分たちの音楽を届けたいターゲットはどこで、その市場は日本なのか、アジアなのか、ヨーロッパなのか、世界なのか。

ゴールとターゲットに対する戦略をまず明確にする。
すべてはそのあとだ。

音楽で飯を食おうという『本気度』がどれだけ高いか。
どこかで諦めてはいないだろうか。CDが売れない。じゃあ、儲からない。
でも、音楽はやりたい。音楽で飯を食いたい。

だとしたら、なぜCDが売れなくなったか、その背景にはなにがあるのか。
インターネットはどう現在に影響を及ぼしているのか。音楽とどう結びついているのか。音楽をただ作るだけじゃなく、自分が身を置く業界についても分析しておく必要がある。

自分の音楽を届ける方法を考える

私自身、昔アマチュアで映画を撮っていたので気持はよく分かるのだけど、よく自分から生まれ出る純粋な音楽性や楽曲性『だけ』で勝負したいという人がいる。
もし本当にそれだけで広く多く世の中に人に届けられたら素晴らしいことだ。
そうなることも私も望んでいる。

しかし、そのように答える人は得てして、マーケティングというものを否定する傾向にある。商業性や商人精神をあまり快く思わない。全員が全員がそうではもちろんないが、もし音楽で飯を食いたいのなら、その想いは変えるべきだ。

マーケティングをすることは決して悪ではない。
むしろ、自分の音楽を広く届けるために必要な要素だ。

そして、その広く届ける方法は必ずしも音楽だけでなくていい。
クワトログラフを用いて、あらゆる角度からの導線を作る。
ファッションからでも、キャラクターでも、何でもいい。それは決して悪いことではない。

本来、アーティストというのは純粋に音楽を突き詰めてほしいと思う。
だけど、バンドであればひとりマーケティングの役割を担う人や
バンドに存在しなければ外部にそのようなブレーンを持つなどいくらでもやり方はあるだろう。ミュージックビデオを撮るブレーンがいるのなら、マーケティングのブレーンだっていて構わないのではないだろうか。

ソーシャルメディアマーケターへ<

いま、ソーシャルメディアの普及によって音楽を届ける方法は格段に広がった。
しかし、それを活用できていないアーティストが多いように感じる。

もちろん、根幹である楽曲クオリティーやライブ力があっての話だ。
そもそもがないものはいつか消えて行く。

facebookページを作りたい。twitterのもっと効果的な方法は?
その疑問に答えるにはまず本人が徹底的にソーシャルメディアを使いこなすことだ。
どんなウォールの内容がいいね!されるのか、シェアされるのか。
何時のつぶやきが読んでもらいやすいのか、どんな情報が共感を纏うのか、どんなコミュニケーションが喜ばれるのか。自身がソーシャルメディアにどっぷり使っていないのに、うまく活用なんてできるわけがない。
手段の目的化だけは絶対にしてならない。

たとえば、ギターを手にしたとき、いきなりオリジナルを弾くだろうか。
まずはいろいろな音楽のコピーをするはずだ。コードを覚え、コード進行を覚え、練習練習に重ねて、オリジナルに着手するはずだ。

webやソーシャルメディアに疎いなんて音楽で本気で飯を食いたいのなら、それは通じない。

自分のバンドが届けたいターゲットと市場がどのソーシャルメディアに存在しててどのようなコミュニケーションをユーザが望んでいているのか。
すべてを鑑みて戦略を立てる必要がある。

100Tribe(ワンハンドレッドトライブ)

以前書いたブログでTribe(部族)という言葉を使った。
メジャーアーティストにも言えることだが、これからの時代はいかに100人の自分の部族を作り出せるかが重要だ。広さよりも深さだ。(広いことにこしたことはないけど)

Tribeとは「年代や性別を超え、共通の趣味や興味、価値観で形成される部族」という意味で、トライバルマーケティングとは「Tribe(部族)ごとに最適化されたマーケティングを実施すること」を指す。

まず100人のエヴァンジェリストを作り出す。ライトファンではないコアなファンだ。
エヴァンジェリストが自分たちを応援してくれる、友人を誘ってくれる。
そういったTribe(部族)を100人作り出す。その100人のTribeを構築するにはどうしたらいいかを全力で考えていくといいと思う。

それにはソーシャルメディアだけではなく、リアルも必ず絡んでくるし、ひとつのソーシャルメディアだけでも難しい。同時に世の中に出ているwebサービスもフル活用すべきだ。特にインディーズアーティストの場合は。

数が多いので今回は代表的なものだけ紹介するが、たとえばミュージシャン、ダンサーとブッキングしたい企業、個人とのマッチングサービス【getstage】

getstage.png

すべてのクリエイターが持っているアイデアを実現するために、その内容に共感した複数のファン(パトロン)から、実現のために必要な創作費用を少額ずつ集める事のできるインターネット上のプラットフォームである【CAMPFIRE】

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音源を売るというスタイルをやめ、メルマガでアーティストとリスナーをダイレクトにつなぐサービス【フリクル】

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ここで忘れてはいけないのは、どれかひとつだけ活用すればいいというわけではない。
facebookやmixiやtwitter、youtubeなども活用し、自社サイトとも連携し、webサービスも最大限使用する。getstageだけでも、CAMPFIREだけでも、フリクルだけでもダメだ。

そして、どれもすべて【チューニング】を行うことだ。
たとえば、フリクルでは定期的にメルマガが送られてくるわけだが、その文面にも最大限の意識を持って望む必要がある。

どうすれば登録してくれたユーザが数あるメールの中からピックアップしてくれるか。そして、聴いてもらえるか。フリクルのメルマガはユーザへのラブレターだ。送った時点で聴いてもらえるわけではない。

getstageもCAMPFIREもフリクルもまだ始まったばかりのサービスだ。これからもどんどん改善していくだろう。それらのサービスにおんぶにだっこではなく、一緒にそのサービスの価値を向上させていくことも必要だ。

大切なのは100Tribe(ワンハンドレッドトライブ)をすべてのツールを活用してゴールを目指すこと。常にチューニングを繰り返し、汗水をたらす。また、自身もソーシャルメディアやwebサービスをつかいこなす。そして、その100Tribe(ワンハンドレッドトライブ)からコミュニケーションリングが生まれ、他のTribeとも連なり、広がり、届いていく。同時に中心点をどこに置くかも重要。
この100Tribeという概念はメジャーアーティストでも必要なものだろう。
まず100人のTribe(部族)を作る。そして、いかに100人がいる100個のTribe(部族)を作るか。

私は素晴らしい才能にあふれたアーティストがもっともっと世の中に出てきて欲しいと思っている。そして、その方法はメジャーデビュー以外にも多様性に溢れている。答えは一つではないし、ルートもひとつではない。

自分の音楽で世界をどう変えたい?
その音楽は誰とどこを設定している?
自分の求めるゴールはどこだ?

日本の音楽がもっと大きなうねりで起きて欲しいと思っています。
日本の音楽は素晴らしいから。


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こちらの記事はTMHブログポータルの方にも転載いただいております。このブログは個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではありません。