コーチェラフェスティバルのソーシャルメディア全体戦略

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4月13日から15日と4月20日~22日まで音楽とアートの祭典コーチェラフェスティバルが開催された。世界に先駆けたこのフェスはソーシャルメディアの取り組みにおいても先進的だ。

ひとつひとつの取り組みを「すごい」というのが簡単だが具体的に何がどうすごいのか。
今回はコーチェラフェスティバルのソーシャルメディア全体戦略について考えてみたい。

多様なソーシャルメディア展開

コーチェラフェスティバルが実行した個々のソーシャルメディアが何をどうやっているのかについては以下に詳しいブログがあるのでそちらを読んで頂きたい。

コーチェラフェスティバルが実施したソーシャルメディアはその数11と非常に多岐にわたる。
(Mashableの記事では9つとあるが、厳密に言うと11だ)

活用ソーシャルメディアはfacebook、twitter、Google+、Youtube、reddit、Pinterest、foursquare、Instagram、tumblr、spotify、APPSと今世の中である程度マーケティングに使えるソーシャルメディアをフル活用しているといえるだろう。

特に毎回注目されるのは、Youtubeのwebcast(生放送)だ。
コーチェラフェスティバルに参加することのできない世界中の人々に向けてブロードキャストするこの試みはこれからのフェスのあり方を示すひとつの大きなひとつであると思う。

また、すぐさまアーカイブ放送やハイライトで時間軸を超えて見ることができる点はソーシャルメディア時代のフェスのあり方において大きなベネフィットをもたらす。

しかし、コーチェラフェスティバルで感嘆すべきはYoutubeだけではない。
フェス前、フェス中、フェス後という3軸とフェス参加者とフェス不参加者とそれぞれに合わせたソーシャルメディア施策を実行していることにある。

コーチェラフェスティバルの各ソーシャルメディアのポジショニングマップを見ながら考えてみよう。
横軸をフェス前とフェス後(中心点がフェス中)と設定し、縦軸をフェス参加者とフェス不参加者とする。

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ソーシャルメディアでフェス前にできること、フェス中にできること、フェス後にできることを各ソーシャルメディアの特性に合わせて整理された状態で設計されている。また、フェス前、フェス中、フェス後という時間軸とフェス参加者とフェス不参加者を問わず横串で横断するソーシャルメディアも配置している。

このようにただ闇雲にソーシャルメディアを多く運営すればいいわけではなく、それぞれの時間軸とターゲットに対して適切なソーシャルメディアを選定することが重要だ。それはつまり、それぞれのソーシャルメディアに対して「意味がある」ことになる。

facebookである理由。twitterである理由。Spotifyである理由。
それはユーザ層が生息しているやアクティブ数などだけではなく、全体戦略の中でどうそれぞれを機能させるかということだ。

例えば、横串で横断するfacebookとGoogle+は同じようで投稿内容や運営方法は違う。個々のソーシャルメディアの役割の明確化はソーシャルメディア全体戦略なしには見つけ出すことはできない。

コーチェラフェスティバルのソーシャルメディア全体戦略

ソーシャルメディア施策を全体として俯瞰してみた場合、いくつか発見することがある。まずは中心点としてソーシャルターミナルであるwebサイトがある。そのまわりにベースキャンプソーシャルメディアとしてfacebook、twitter、Google+、redditが存在している。そして、それを取り巻くようにspotifyやYoutube、Pinterestやfoursquareなどがある。

コーチェラフェスティバルから見るソーシャルメディア全体戦略として重要視することは以下の2つだ。

ユーザがどのソーシャルメディアで何を『共有』するのかを設計する

どこから『共有』⇒『共感』⇒『共鳴』のサイクルを作り出すか

厳密に言うと全く違う企業だったり、プロダクトであったりで全体戦略の方向性や指針は変わる。
今回はあくまでコーチェラフェスティバルから見るソーシャルメディア全体戦略だということを注記しておきたい。

ソーシャルメディアで何を『共有』させるのか?

まずソーシャルメディア全体戦略をプランニングする上で、最重要なのは各ソーシャルメディアで何を『共有』させるのかという点だ。もちろんそのためには各ソーシャルメディアの特性や違いを明確に理解している必要がある。

さきほど各ソーシャルメディアには役割があり、特性に合わせて設計されていると書いた。図1のコーチェラフェスティバルの各ソーシャルメディアのポジショ
ニングマップはどのソーシャルメディアの位置づけも平面で表現されているが、この図は各ソーシャルメディア同士の連携や基点となる場所の相関関係を示している。

そして、図2のコーチェラフェスティバルのソーシャルメディア戦略全体図で見てみると、各ソーシャルメディアによって『共有』されるものは全く違うことがわかる。

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facebookやtwitterで『共有』されるものは「コーチェラコンテンツ全般」になる。
spotifyで『共有』されるものは「音源」になる。
Youtubeで『共有』されるものは「ライブ、アーティスト、雰囲気」になる。
Pinterestで『共有』されるものは「景色、ファッション、雰囲気、食事」になる。

また、ユーザそれぞれの感情がベースとしてあることも忘れてはいけない。

このようにコーチェラフェスティバルという多様で多彩なコンテンツを誇るものにたいしてはあらゆる切り口、フックで『共有』されるものを作り出す必要がある。そして、その『共有』されるものを導き出すためにクワトログラフを用いる

facebokやtwitterで適用されるグラフは「ソーシャルグラフ/インタレストグラフ」になる。
spotifyで適用されるグラフは「ミュージックグラフ」になる。
Youtubeで適用されるグラフは「ミュージックグラフ/インタレストグラフ」になる。
Pinterestで適用されるグラフは「リレーショングラフ」になる。

各ソーシャルメディアの特性と役割を明確にし、各ソーシャルメディアで何を『共有』させるのかをプランニングする。そして、その『共有』させるものによって各ソーシャルメディアのKPIの設定も変わるはずだ。

そして、何より同時にクワトログラフを用いて、その『共有』はどのグラフに伝搬するのかを設計する。コーチェラフェスティバルから見るソーシャルメディア全体戦略とはかくも複雑で難しい。だからこそ、詳細で綿密な全体戦略を描く必要がある。

『共有』⇒『共感』⇒『共鳴』のサイクルを各ソーシャルメディアで設計する

常々このブログでは『共有』⇒『共感』⇒『共鳴』のサイクルを生みだすことが重要だと述べてきた。大切なことは、どこから『共有』⇒『共感』⇒『共鳴』を生みだすかである。すると、各ソーシャルメディアによってそのサイクルの始まりは変わることがわかる。ここでもう一度、図2のコーチェラフェスティバルのソーシャルメディア戦略全体図を掲載する。

socialmediast.png

例えば、spotifyであればコーチェラフェスティバルの場合、フェス前とフェス後に価値を生むソーシャルメディアだが、ここでのサイクルは『共有』⇒『共感』のサイクルが適用される。『共鳴』というのは原則リアルの場でしか生まれないものなので、ここで『共鳴』までのサイクルには到達しない。

また、Youtubeも『共有』⇒『共感』のサイクルを描く。しかし、webcastという特性上、極めてリアルに近い『共鳴』にまで至るケースはあるが、ここで『共鳴』が起きた果てはコーチェラフェスティバルに参加したい!である。なので、アーカイブ放送なども行なっているので厳密に言うと『共有』⇒『共感』⇒(共鳴)が正しいかもしれない。

一方、PinterestやTumblrなどは実際に参加している人たちが景色やファッション、食事などのリアルの体験を経てソーシャルメディアで発信するため、『共鳴』⇒『共有』のサイクルとなる。もちろん、コーチェラフェスティバルに参加した人々の熱量がソーシャルメディアに発信される場合も『共鳴』⇒『共有』のサイクルとなる。

このように、『共有』⇒『共感』⇒『共鳴』のサイクルを描くソーシャルレゾナンスをどう設計するかが重要だ。これをどれだけプランニングできるかがソーシャルメディアを実施する上での鍵になる。そして、コーチェラフェスティバルで興味深いのは一度やったフェスをもう一回翌週に開催したことだ。

リアルのフェスをもう一度、回しまたその思いがソーシャルメディアに循環されることは非常にコーチェラフェスティバルの潜在層、顕在層の購買意欲、想起度、訪問意向が高まったはずだ

世界のフェスでも先進的にソーシャルメディアに取り組むコーチェラフェスティバルはあらゆる意味でモデルケースとなってくるだろう。日本でもコーチェラフェスティバルのようにソーシャルメディアと連動したフェスが出てくることを願ってやまないし、僕自身もチャレンジしてみたい。

かくいう僕はコーチェラフェスティバルに行ったことがなく、いつか行きたいと毎年思うのである。

そして、今回の表紙と下の写真はコーチェラフェスティバルに参戦している音楽仲間の@kamikouさんからお借りしました。死ぬほど、うらやましいです。

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こちらの記事はTMHブログポータルの方にも転載いただいております。このブログは個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではありません。