ソーシャルメディアマーケティングのその先を考える

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随分と本当に随分とお久しぶりのブログです。ご無沙汰しております。

このブログはずっとソーシャルメディア×音楽をテーマに執筆してきました。
そして、とても幸せなことにそれは書籍となり「音楽の明日を鳴らす-ソーシャルメディアが灯す音楽ビジネスマーケティング新時代-」と「ソーシャル時代に音楽”売る”7つの戦略として世に出すことができました。

更に幸いな事に多くの方に読んで頂き、共感もあれば否定もあり様々な学びを得ることができました。この場を借りて感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

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ソーシャルメディアマーケティングのその先へ

さて、そろそろソーシャルメディアのその先を考えてみたいと思っている。ここでソーシャルメディアとは?やソーシャルメディアマーケティングとは?クチコミの種類とは?などを語るつもりはない。「共有」も「共感」も「共鳴」もそれはもう前提にした上で展開していこうと思う。

まだまだではあるが、「共有・共感・共鳴のサイクルを創る」や「クワトログラフ」「トライブ」といった概念やフレームワークが”自走”し始めていることに嬉しくもありながらも(は?そんなの聞いたことないよ。お前が言っているだけだ。という方も大勢いらっしゃると思うが)それがきちんと腹に落ちた上で実際のプランニングの際になどに役立てばと願うばかりだ。

僕はこれからソーシャルメディアのその先、それはソーシャルメディアと戦略PRとの連携を考えてみたい。つまり、ソーシャルインフルエンス。果たして音楽ビジネスでソーシャルインフルエンスは起きるのか。起こすのではなく、そもそも音楽という分野においてソーシャルインフルエンスは起こすことが可能なのか。

例えば、AKB48。これはひとつの現象となりある意味ではこの時代だからこそなり得たソーシャルインフルエンスのひとつではあると思う。「影響力のベクトル」「影響力の範囲」「影響力のスピード」の変化が重なって生まれたものだ。そして、それはこれからを考える上で大事な要素になり得る。

しかし、音楽に関して言うとAKB48だけが全てだとは当然思わない。音楽におけるソーシャルインフルエンスはAKB48とはまた違った方法でアーティスト単位で発生させることができるのか、あるいはソーシャルインフルエンスに合う合わないアーティストがいるかもしれない。もしくはある音楽シーンやカルチャーを起こすことになるのか、またはSpotfiyのような音楽サービスやウォークマン、ヘッドホンなどの製品にも実現可能なのか、はたまた音楽業界として発生させることができるのかを踏まえて考えてみたい。

意識的なスルーと無意識的なスルー

僕らは日々「無意識」の行動に多くの時間を使う。
それに加えて僕らは自分の興味関心のあることしか目に入らず、耳に入った情報は自分の知識や過去の経験、価値観に基づいて自分の都合のいいように解釈し、興味のあることだけ記憶しようとする。そんな生き物である。良くも悪くも。

そして、僕らは多くの習慣やルーティンで過ごしている。その無意識の生活者にたいしてアテンションを獲得することは簡単ではない。

僕たちは「自分ゴト」の中でも興味のある分野「高関与領域」と「生活習慣」が中心になる。
「高関与領域」とは、例えば普段から興味を持っているものや、購買頻度が少なく高価格帯で買い替えのきかないものなどだ。「自分ゴト」の中でも「高関与領域」というのは、関与がすでに高いため普段から情報を探している。

一般的には不動産や車、洋服などがあてはまる。この部分においてCDは高価格帯であるかと言われればそうでもないが、多くの人がCDを購入しなくなったいま、当てはまっているといえるかもしれない。あとは、ライブやフェス、ライブDVDなども該当するだろう。しかし、ダウンロードやレンタルもあるので、音楽ビジネスにおける「高関与領域」というのは実際にはもっと細分化されているといえる。しかし、もしかしたら音楽の場合は「高関与領域生活習慣」なる可能性もありえるが、この部分については別の機会に考察する。

当たり前だが、同じものでも人によって関与の高低差は存在する。ヘッドホンに高関与の人もいれば、付属のイヤホンで全く問題ない人もいる。そして、この「自分ゴト」の中でも高関与領域において人はクチコミをする。

一方、「生活習慣」というのは、感情の起伏が弱く、「動作」や「作業」に属されてしまう物が多い。一般的にはスーパーやコンビニの商品が当てはまることが多い。例えば、「今日は絶対に伊右衛門を買うぞ!」という人はあまり存在しないだろう。それは満足しているから買い続けているのではなく、特段不満がないから買い続けているのである。

はなしを「意識的なスルー」と「無意識的なスルー」に戻そう。例えば、「ももいろクローバーZ」や「ゴールデンボンバー」。

今や彼女、彼らはメディア露出も含めて出ずっぱりであり、且つ紅白にも出場することも決まり、多くの人が「見たことがある、聞いたこと(部分的も含め)がある」レベルである。これは一見、「誰に話しても知っている」という「世の中ゴト」のようにみえる。

しかし、これは「知ってはいけるけど、興味がない」人々から見れば、「世の中ゴト」でも「自分ゴト」でもなく「他人ゴト」である。

音楽そのものや生活習慣上、音楽に関与度の低い人からすると「知っているけど、興味が無い」状態である可能性は高い。しかし、多くはマスメディアやパブリシティも含め露出することが目的になって満足してしまい、その先を描けていない。(ももいろクローバーZやゴールデンボンバーがそうだと言っているわけではない。念のため)

マーケティングを考える上で、「自分ゴト」「仲間ゴト」「世の中ゴト」「他人ゴト」さらに「無知・無関心」という5段階が存在する。(実はもう一段階あるのでは?という思いもあるがそれはまた別の機会に)

ソーシャルメディアができることは、「自分ゴト」「仲間ゴト」までである。
「世の中ゴト」にはマスマーケティングが欠かせない。ただし、ソーシャルメディアマーケティングは「他人ゴト」や「無知・無関心」を「自分ゴト」にしてもらえることはできる

それを解決するのがエヴァンジェリストだ。しかし、このエヴァンジェリストの弱点は限られたグラフ内、影響範囲内でしか力を発揮できないことだ。それがダメなわけではない。しかし、これから考えていくソーシャルインフルエンスとはより大きく世の中を動かすことだ。

「知っていること」は無視すればいい。けれど、問題なのは「知らないこと」はもはや無視ですらないことだ。意識的なスルーではなく、無意識的スルーなのである。

無知・無関心を振り向かせる難しさ

改めて「他人ゴト」とは、「知ってはいけるけど関心がない」そして、「知らないし、興味もない」状態は「無知・無関心」のことを指す。

他人ゴトの人を振り向かせることは非常に難しい。広告で興味を持ってもらえる時代は終わった。新規ファンを獲得する際「他人ゴトの自分ゴト化」がなによりテーマになる。

「一度、音源を聞いてもらえさえすれば・・・良さをわかってくれる!」
「一度、PVを見てくれれば・・・凄さをわかってくれる!」

残念ながらそれはなかなか難しい。なぜなら、ユーザはそこまで暇ではないし、上記のような発言をされている方はなにより世界一そのアーティストに高関与な方だ。相手は同じレイヤーにいない。(そもそも聴けない、見れないことも未だに多い)

そして、更に難解なのが「無知・無関心」の層である。
本屋で例えてみよう。

「あなたは普段、工学の棚に行くだろうか?」

僕であれば広告、マーケティング棚やコンピュータ、IT棚、音楽棚、小説、漫画棚などだいたい決まったあたりを巡回する。その本屋の他のエリアにどんな本があるのか一切の興味が無い。なぜなら、ニーズがないからである。ニーズを認識した時点で情報を探索するだろう。

僕は本屋で決まったエリアしか見ない。それは意識的に行なっているわけではなく「無意識的なスルー」なのである。

これからソーシャルインフルエンスを考えていく上で大切なのは、どうしたら「工学の棚に多くの人が足を運んでもらえることができるか」なのである。そして、それは広告のみでは不可能である。

ソーシャルインフルエンスとは、「新しい時代の影響力-世の中を動かす新しいチカラ」のことを指す。世の中を動かす。それはつまり、人が動くということだ。マーケティングコミュニケーションで考えれば、「みんながそれを話題にしている」ことだ。

誤解しないでほしいのは、今まで僕が書いてきたことを否定するわけではない。トライブは変わらず必要な概念だし、クワトログラフや共有・共感・共鳴のサイクルは重要だ。それは前提として存在する。ソーシャルインフルエンスはそれをもっと大きなレイヤーで化学反応を起こすことを目的としている。ソーシャルメディアのその先を考えていきたい。

ソーシャルインフルエンスを紐解くには、ソーシャルメディアに対する「正しい」理解と戦略PRに対する「正しい理解」が必要だ。

僕もまだまだ不勉強なので思考の整理も兼ねて再びブログを再始動させるが、果たしてこの先にどんな結論が導きだせるかは謎である。だけど、変わらずMusic Firstを第一に掲げ、恩返しが出来たらと思っている。

ソーシャルインフルエンスはユーザにとって新しい音楽の出会い方を可能にし、仕掛ける側にとってはソーシャルメディアマーケティング単独では成立しづらかったモノが動くという部分にまで広がるものではないかと思っている。そのソーシャルインフルエンスの単位が何がハマッてハマらないのかも含め検証していきたい。その単位によって自動的に音楽関与の高い、低い層にチューニングする必要がある。

音楽の夜明けは間もなくだ。もう至る所で始まっている。そこに必ずソーシャルメディアマーケティングは存在する。今までのようにマスマーケティングも存在する。けれど、それだけでもなさそうだ。さあ、そろそろスピードを上げよう。海外のマーケティングカンファレンスを見てみても、もはやソーシャルメディアマーケティングからモバイル、ローカル、データ、アドテクノロジーなどに移行してきている。それがすべて正しいとも思わないが、時代の潮流は見ておくべきだ。

データベースマーケティング、ブランドマーケティング、One to Oneマーケティング、パーミッションマーケティング、リレーションシップマーケティング。これらの言葉は消えてしまったのではなく、もはや当たり前のものになっているそこ
にソーシャルメディアマーケティングも組みこまれていく。ならば、音楽に関してもそろそろソーシャルメディアマーケティングのその先
を考えていかなければならない。

その中で、まずはしばらく「ソーシャルインフルエンスを音楽で起こせるか」について考察してみたい。ただし、音楽は基本的に商品がモノではなく、ヒトである。そして、音楽の場合は「ケッカテキ世の中ゴトに見える他人ゴト」も結構多い現実もある。だからこそ、検証してみたい。

「a day on the planet」第二章の始まりである。末永くお付き合いくださいませ。(途中脱線することも多々ありそうですが・・)


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