『シェアCD』仕様のTHE NOVEMBERS新曲「今日も生きたね」に込められたメッセージ

THE NOVEMBERSが5月14日(水)に10枚目であるニューシングル「今日も生きたね」を発売します。今回の新曲は『シェアCD』という仕様になっています。

今回マーケティングコミュニケーション、クリエイティブディレクションで関わらせていただきました。ここではコミュニケーションデザインの観点から書いてみたいと思います。

◆デジタル時代にシェア(共有)の原点に立ち還る

本作「今日も生きたね」は二枚組の『シェアCD仕様』となっています。『シェアCD』とは特段新しいことではありません。過去にも別のアーティストが実施したことがあります。

当然ですが前提として、楽曲が持つメッセージ性や世界観が肝になります。Vocal&Guitarの小林祐介くんは、「今日も生きたね」について以下のように述べています。

“今回のシングルは人から人に伝わっていったら良いなって思う楽曲だと思っていて。僕が日本語自体や人とコミュニケーションをする事を大事にして、人に届けるって気持ちを大事にしたかったというのがテーマの1つで。それを実現する上で心のこもった届け方ってなんだろうって考えたんです。”
(BELONG Magazineにて、5月14日発売の「今日も生きたね」に関するインタビュー)

そこで、今回は「デジタル時代にシェア(共有)の原点に立ち還る」をコンセプトとして考えました。今はソーシャルメディアを使えば簡単にシェア(共有)できるデジタル時代です。

それは素晴らしいことですし、このソーシャルメディア、デジタル時代において【共有】をいかに用いて【共感】へつなげるかがポイントであるわけですが、今回はそれとは真逆の方法論で行うことが楽曲の素晴らしさをいちばん届けられるのではないかという結論にMERZチームで話し合いました。

Vocal&Guitarの小林祐介くんの言うとおり、「人とコミュニケーションをする事を大事にして、人に届けるって気持ちを大事にする」ことをテーマに考えた場合、フィジカルパッケージの持つ強さや温度や良さを活かす際に、『シェアCD』は「誰でも」ではなく、あなたにとって大切な「ひとり」の人にこそシェアをしてほしい、その架け橋として本作があってほしい。そういったところから、生まれたものでした。

その際に「誰にあげようかな」と想いを巡らすことで、その人の中で色んな人の顔が浮かぶと思います。それも本作を通して、誰かを考える、思い出す、記憶をたどる、想いを馳せる、そんなきっかけになってくれればと思っています。

◆『シェアCD』はコミュニケーションツールとして贈られる

『シェアCD』の仕様は大きく分けると3構成に別れています。

まず購入者本人用のディスクとシェア用の紙ジャケットが同封されています。ジャケットデザインなどすべて同一デザインで展開されています。

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次に、シェア用の紙ジャケットには歌詞カードとディスクが封入されています。つまり、同封されているシェア用CDがそのまま、大切な人へ贈ることができます

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最後にそのまま『シェアCD』を贈っても、それは他のCDをプレゼントするのとあまり変わりません。そこで、シェア用のディスクには宛名と贈り主を記入する欄が設けられている仕組みとなっています。

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円盤そのものがメッセージとして機能し、ジャケットや歌詞カードがラッピングの役割を果たし、すべてセットでコミュニケーションツールとして機能するようなものになっています。

◆”『シェアCD』という言葉の開発”と”巡り、巡る歌”

このソーシャルの時代に敢えて、アナログで誰にでも簡単にシェアできないという逆説的なマーケティングをやるということ。なので、ソーシャルメディアで拡散などは一切に考えていません。one to oneで大切な人に、届いて、伝われば完成です。

「今日も生きたね」が大切な人同士の中で、巡り、巡る歌としてなってくれればいいなという想いが込められています。(だから、円盤にToとFromあります。この歌が巡り巡るように)

さきほども述べたように、『シェアCD』という二枚組自体は新しいものではありません。しかし、そこに『シェアCD』という言葉を「文脈をつけて付与」することによって、再定義することを目指しました。

それは『シェアCD』という言葉を作ることで、人の言の葉に乗せやすくすることだったり、ニュースとして伝搬させやすくすることで、既存ファンはもちろん、『シェアCD』という文脈から既存ファン以外にもニュースを届けることでTHE NOVEMBERSに対して新しい層の興味喚起のルートを作れたらと思いました。

今回THE NOVEMBERSも含めたMERZというチームの中で、マーケティングコミュニケーション(シェアCDの開発)やPR戦略、クリエイティブディレクター、コピーライターを担当できたことをとても感謝しています。メンバー、スタッフのみんな、ありがとうございます。

最後にVocal&Guitarの小林祐介くんの言葉がまさに伝えたいことを表現してくれています。

”今回のシェアCDという“形”自体も作品の一部。現代におけるモノとしての意味や価値、人の情緒や繋がりの意味や価値について、改めて考えるきっかけになったら嬉しいです。意味や価値は、見出すものだから。”

素晴らしい楽曲ですので、多くの人にこの歌が届いてくれるといいなあと思っています。
本日5月14日(水)発売です。よろしくお願い致します!

また、「今日も生きたね」のミュージックビデオも公開されました。
7分34秒ワンシーンワンカットの作品です!

最後まで読んで頂きありがとうございました。